異端の総合格闘家の生き方から学ぶ個人ビジネスへの生かし方[空気を読んではいけない by 青木真也]

ブログやツイッターでよく見かけて面白そうと気になっていた総合格闘家の青木真也選手の著書「空気を読んではいけない」も2016年末のAmazonのセール対象だったので購入していたので、読んでみました。

実は青木選手は私と同い年で、私も中学時代に柔道をやっていた際、青木選手の中学校へ合宿に行ったときにアテンドしてもらったことがあります。

当時の青木選手は目立つ存在ではなかったと思いますが、高校から全国大会でも活躍する姿が目立ち、トリッキーな戦い方は目をひきました。

本書の中では、そのトリッキーさが確執を生んだり、疎まれた部分もあったようですが、端から見ていると「何をするかわからない」という意味でとても魅力的な選手だったと記憶しています。

その後、PRIDEなどの総合格闘技にデビュー以降はテレビでも長く活躍していたので、実際にどのような戦略を持ってこれまでのキャリアを築いてきたのか、非常に興味がありました。

本書では青木選手の戦略的思考が言語化されており、格闘家のみならずビジネスパーソンでも参考になる部分があったのでご紹介していきますね。

私が感じた本書の3つのメッセージ

本書はタイトルからして挑戦的な内容ですが、目次や文言も厳しい言葉が多いです。

しかし、その分、本質的で自分自身に一番ストイックであろう青木選手の人柄が感じられました。

数多く参考になった箇所から、本書のメッセージを私なりに抽出したのが以下の3つです。

1. 人生の優先順位を決める

青木選手は自分が求めているものがハッキリしていて、極力シンプルな思考を心がけているように感じられました。

また、極力自分のコントロールできる領域を維持・確保するように言行一致していますね。

たとえば、本書からこんなエピソードが象徴的でした。

僕みたいな才能に恵まれていない人間が一流を目指すのであれば、生活から贅肉を削ぎ落として、極力シンプルにするしかない。何が要らないかをハッキリさせるしかない。
流されるがままに不要なものを持ち、意味のない食事をして、価値観の合わない人と付き合っていては、本当にやるべきことに集中できない。
可能な限り、余分を捨てて生きていこうと思っている。

僕にとっての成功は、誰にも邪魔されずに好きなことをやれて、自分らしい生き方ができること。華やかな生活には全く憧れない。好きな格闘技をやれて、自分が暮らしやすい環境で過ごせていることが、幸せを感じられる状態だ。
カッコ良さや成功については、それぞれ基準があるはずで、誰かの基準に無理に合わせる必要はない。周りから、「地味なヤツだ」「面白みのない男だ」と思われても、自分自身が幸せならそれでいい。
ビッグマッチに勝利しても、桁外れのファイトマネーが流れ込んできても、僕は自分の生活を変えることは全くない。

自分なりの「どう生きていきたいか」という人生の優先順位がはっきりしているので、ブレない生き方につながるんでしょうね。

特に、現代は「大企業に就職すれば安泰」など、一昔前の「人生の成功ルート」は陳腐化しています。

価値観も多角化しているため、自分がほんとうに「幸せ」だと感じるように「人生の優先順位」を決めておくことは非常に重要です。

2. 「隙間」を探す

青木選手といえば、寝技です。

高校・大学時代の柔道の大会に行った際にも関節技などで勝利する場面が印象的でした。

そんな青木選手の個性も、自分で自分を「凡人」と思ってこその努力の賜物だということがエピソードからわかります。

他の部員が知らない技を覚えていくことで、部活でも少しずつ勝てるようになっていった。相手の知らない技を繰り出せば、実力差があっても勝てる。早い段階でそれに気づくと、格闘技雑誌を読み漁り、柔道では通常使わないような技術も貪欲に取り入れた。
対面した相手の腕に体ごと飛びついて、腕ひしぎ十字固めを極める「飛びつき腕十字」をはじめ、僕の柔道のスタイルは相手を投げるのではなく、いきなり関節技を仕掛けたりする変則的なものだった。対策を取られて技が極まらなくなると、また新しい技を仕込むという繰り返し。僕の格闘技人生は、ある意味で隙間を探し続けてきたとも言えそうだ。

こうした「隙間」を探し続けてきた結果、青木選手の強みは唯一無二の「市場価値」に昇華しました。
まさにニッチ戦略ですね。

周囲に流されることなく、常に隙間を探し、新たな技術を追い求め続けてきたことは、結果的に僕の選手としての市場価値にも繫がっている。
総合格闘家として、僕以上に特徴的な寝技師は、世界を見渡してもいないのではないかと思う。「『シンヤ・アオキ』といったら寝技だ」と、世界中の格闘技ファンが口をそろえてくれる。
他に比較対象のない特異な戦い方をするので、格闘技イベントの主催者も、不可欠な選手と見なしてくれる。

市場が変化しても、その「市場価値」によって引っ張りだこになるわけですね。

こうした自分の強みを強化していくことは、これからの時代のトレンドだと思います。

特に会社勤めだと、その会社内で通用するスキルばかりが伸び、一旦会社という枠組みを出た際には社会全体に通用するスキルや経験がない、というリスクがあります。

私も会社を通さずに数万円稼ぐのもかなり大変でしたので、個人的に危機感を持っています。

このリスクを意識している会社勤めの方はどれほどいるのでしょうか。

3.変化を恐れない

青木選手は格闘技界全般の動きにも敏感で、今後の予測もしており、逆張りの発想で行動することが多いそうです。

その根底にある考えは次の文章から読み取れます。

僕は今でも、世の中の傾向を見ている。総合格闘技は「何でもアリ」だから、これまで寝技が流行ることがあったり、立ち技が重要視されたり、その都度トレンドが変わってきた。今はアメリカの「UFC」を中心にレスリングの時代がきているが、これから先は足関節技の時代がくるのではないかと考えている。
もしかしたら、予想が外れるかもしれない。でも、「周りがこう思っている」「こう考えている」と仮説を立て、「だったら、実はこっちに穴があるな」と発想する。
その精度をいかに上げるかが重要で、それは、どれだけ多くの情報、感性に触れてきたかにかかっている。
周りが行く方にはもう美味しい果実は残っていない。誰もが見ていない裏山にこそ、人知れず足を踏み入れるべきだ。

投資といっしょで、自分の時間や労力といったリソースをどこに重きを置くか、という話ですね。

ビジネスの世界でも、AIやIoTなどの新技術への注目が集まっていますが、今後のトレンドを捉えて早々に自身の事業にチャレンジングに取り入れるのか、それとも好調な現状を崩さず行くのか、などといっしょです。

この場合、短期的な視点のみならず、中長期的な視点が非常に重要だと感じます。

3つのメッセージを私の個人ビジネスにどう生かすか

本書を通して感じた3つのメッセージに対し、自分の個人ビジネスにどう生かしていくか、現時点での考えを備忘録的にまとめておきたいと思います。

1.人生の優先順位を決める

私は、基本的に自分で考えて自分で行動して行きたいので、最終的には会社という「組織」ではなく、個人でビジネスをできるようになりたいです。

そのためには、現時点ではそのための種をまく時間を優先したいです。

具体的には、以下のような時間ですね。

  • ブログの執筆
  • 書籍の執筆
  • 新規サービスの策定
  • 読書やネットなどからのインプットの時間

あとは、上記の時間と同じくらい娘たちとの時間を大事にしています。

娘の成長速度を考えると、都度思い出をつくっておかないと、何のために仕事をがんばっているのかわからなくなっちゃいますからね。

基本的にこの2本柱が私の最優先事項です。

2.「隙間」を探す

私はExcelのブログをメインで更新しており、商業出版もしているので、ニッチな分野で強みを持っていると言えるでしょう。

Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~

特に、今はそのExcelの中でも「関数」に特化して、まずは相対的に強いポジションを築けるように試行錯誤中です。

そして、ゆくゆくは動画や他の対面型のサービスなども展開し、先人とは違う観点から集客や商品開発などで差別化を図っていきたいですね。

個人的には他業種の事例も参考になると思っているので、ネットビジネスのノウハウをきちんと勉強していこうと思っています。

3.変化を恐れない

Excel絡みだと、気になるのは、やはりAIの対応領域です。

Excelの強みは、専用ツールやシステムの隙間を埋めるための担当者レベルでコントロールできるBIツールだという部分です。

「Excelより便利」という触れ込みのツールやシステムはけっこうありますが、システムの対応領域外にも実はユーザーニーズがあったり、別システムへ連携するためにデータ加工が必要な場合もあり、担当者レベルでその対応を行うためにExcelを活用する、というケースは相当数あります。

こういった背景があるため、いくら他に便利な専用ツールやシステムが出ても、一定数のExcelユーザーが維持できることが期待できていました。

しかし、AIの対応領域によっては、Excelを使う事務処理をAIで対応できたり、そのAIへの設定のカスタマイズも担当者レベルで簡単に実施できるようなものであれば、Excelのシェアは急激に減ってしまう恐れがあると個人的に思っています。

そのため、AIの対応領域に変にビクビクしないためにも、継続して最新情報をキャッチアップしていく予定です。

さいごに

失礼かもしれませんが、格闘家の本とは思えないほど、戦略的で合理的な思考が散りばめられた一冊でした。

青木選手ファンはもちろん、意識高い自己啓発本にマンネリ気味なビジネスパーソンにおすすめできます。
特に、何か達成したい人には強くおすすめします。

凡人が空気を読んでしまったら、本当に「空気」になってしまう。「空気」は果たして幸せだろうか?何かを達成できるだろうか?

こんな問いかけから始まりますので、「ドキッ」とすること請け合いです。
ご興味のある方は購入して読んでみてくださいね。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

しかし、本当に格闘技の世界は厳しいみたいですね。。
大学の友人もある団体のチャンピオンになりましたが「格闘技は儲からない」と、別の道で成功することを模索していますから。
青木選手の今後の活躍もお祈りしています。